Photography Mitchell Sams

「すべては盗用です」:デムナのVetements 2018AW

今シーズン、Maison Margielaにオマージュを捧げたデムナ。「盗用」が持つ力を探求した。

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jan 26 2018, 9:41am

Photography Mitchell Sams

それぞれのルックが列挙された署名入りの招待状、ショーの会場は世界最大の蚤の市。デムナ・ヴァザリアが最高にVetementsらしいコレクションと共にパリコレに帰ってきた。しわくちゃスーツ数点を携えたファッション界の申し子の帰還によって、2018年秋冬コレクションがにわかに活気づいた。 激しく、エネルギーに満ち、何層にも重なってハッとさせるこの正直なコレクションは、時代を完ぺきに反映し、それでいてほかのどのブランドとも違っていた。真似をするものはたくさんいるが、Vetementsはこの世にただひとつしかない。

パリ中心街からは遠く離れたポール・ベールとセルペットは、その周囲を10ほどの蚤の市が取り囲んでいる。それぞれの市でアンティークが販売されており、デムナの蚤の市的な美学を表現するのにぴったりのロケーションだ。私たちの席からは、貴金属から細密なガラス製品、装飾の施された鏡やヴィンテージのトランクまで、あらゆるものを一望できる。ファッション関係者やVetementsの熱心なファンに混じって、たくさんの市の店主たちが、売り物のミッドセンチュリー家具に座ってショーを眺めたり、多彩な食器の陰からあたりを見回していた。BALENCIAGAでは地元セヴン・シスターズ地区のコミュニティを讃えたデムナが今回のVetementsのコレクションで讃えたのは、市場そのものをかたち作る好奇心のコラージュだった。ゴスのギャングが蚤の市に訪れたおばあちゃんと入り混じる。あたかも写真集『Exactitudes』を見ているかのように。

趣味の良さとバッド・テイストを組み合わるこの離れわざは、デムナが若い頃に3年過ごしたMaison Margiela時代に培われたものだ。「デザイナーとしてのルーツ、つまりMargielaに立ち戻ったんだ」と彼は話す。「Margielaが僕とVetementsにとってどういう意味を持つのかを示したかった。それはアプローチであって、人ではない。それは服の愛し方であり、その服を使ってルールを破る方法です。それこそ、僕たちがやってきたことでした」。コレクションのコピーに関する質問を真正面から受け止めたデムナは、幼稚園児たちに“部屋の中にいる象(皆が見て見ぬふりをするものという例え)”の絵を描くように頼み、その絵をTシャツにプリントした。VetementsはMargielaの姿をした象がキャットウォークにいることを認め、それを自らのものとし、さらにはまったく別のものに変えてしまったのだ。

「すべては盗用です」とデムナは言う。「僕たちが暮らす世界にはレファレンスが溢れています。そこから新しいものを生み出すためにレファレンスは存在し、私たちに与えられている。これは僕が自らに課した挑戦です」。ごついバッファローブーツ(SWEARとのコラボ)から、ルレックス(光沢のある金属の糸)でつくった足袋型のヒール、マリリン・マンソンのグッズにスイス絵葉書スカーフまで。Vetementsがのぞいているのは、永遠に進化し続ける影響力の万華鏡だ。その身をずっと先の世界に置きながら、さらに透明で、オープンで、自由な未来に目を向けているのである。

Credits


Photography Mitchell Sams
Translation Aya Takatsu

This article originally appeared on i-D UK.