DRESS AND HARNESS VIVIENNE WESTWOOD,EARRINGS JOHN LAWRENCE SULLIVAN.

「自分が楽しいと思える今をつくっていきたい」ちゃんみなが振り返る21歳の夏

今、日本の若者たちをこれほどまでにエンパワーメントする女性はいるだろうか。JKラッパーから、今や日本を代表する若手アーティストの一人となったちゃんみな。世界が慌ただしく変化したこの夏、ニューシングル『Angel』をリリースしたばかりの新世代のディーバは何を想っていたのか。

by Sota Nagashima; photos by Niko Wu
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01 October 2020, 8:30am

DRESS AND HARNESS VIVIENNE WESTWOOD,EARRINGS JOHN LAWRENCE SULLIVAN.

日本語、韓国語、英語を操るトリリンガルラッパーであり、シンガーのちゃんみな。彼女がJKラッパーと呼ばれていたのは、もう遠い昔のことのように感じる。実体験を元にしたラブソングやエモーショナルな歌詞が共感を呼び、今や10代〜20代を中心に圧倒的な支持を受ける日本のアーティストといえば必ず名前の挙がる存在にまで成長した。全世界で新型コロナウイルス感染症が猛威を奮い、ライブなど人が集まるイベントの予定などは軒並み中止。そんな未曾有の事態に感じていたことや、念願だった韓国のテレビ番組への出演キャンセル、Black Lives Matterについて発言した真意など、この夏彼女が経験したことを振り返りながら率直な今の想いを聞いた。

ちゃんみな,chanmina,Angel,never grow up,新曲
DRESS AND HARNESS VIVIENNE WESTWOOD,EARRINGS JOHN LAWRENCE SULLIVAN,SHOSE CHRISTIAN LOUBOUTIN.

今回リリースされた4曲入りシングル『Angel』は、1曲1曲が繋がりを持つコンセプチュアルな作品。完成した4曲を並べたときに「天使が堕ちていっている」という繋がりを感じたことから“堕天使”をテーマに作られたのだという。その表題曲である「Angel」はコロナによる自粛期間を経て作られた曲だ。「自粛期間中の最初の方は何もしていませんでした。世間が色んなニュースで騒がしかったので、自らの感情を揺さぶられたくなかった。あえて表現やインプット、アウトプットということを一切やってなかったんです。只でさえ揺さぶられるから、受け付けなかった」と振り返る。

「元々休みの日も遊びに行ったり、頻繁に家を出るタイプではなかったので、生活自体はあまり変わりませんでした。自粛前はすごく忙しかったので、心境としては休めたかなと思います。インプットもアウトプットもしないというデトックスができたのかなと。それがあったのと無いのとでは、だいぶ描くものも変わってきたと思うし、そのお陰で見えてきたものもたくさんある。ライブやフェスも中止になって、こんなにゆったりとした夏はすごく久し振りだなと思います」

コロナの影響はライブだけには留まらなかった。念願だった韓国でのTV番組のレギュラー出演が決まっていたにも関わらず、コロナの影響で中止になってしまったのだという。「残念ですけど、しょうがない」と今は気を持ち直しているが、伝説的番組『Yo! MTV Raps』のアジア版に日本人として初出演をした際は、かなりの手応えがあったようだ。「刺激にもなったし自分の自信にも繋がりました。それぞれの国の第一線で活躍されているアーティストの方たちと一つのプロジェクトに取り組むことによって、それぞれオリジナリティがあり唯一無二だということも感じられたし、私自身もそうであると認識できました」

幼少期を韓国、アメリカ、日本の都市を転々として生活を送ってきたことから、苦労したこともあったとちゃんみなは語る。「私のなかでは、いじめが一番大きいです。それが全ての始まりだったというか。今でもたまにトラウマになっているなと思うこともありますし、幼いながら食らったんじゃないかなと思います」

「今でも日韓問題はすごいし、アメリカや世界的にも色々な問題がある」自身のバックボーンと共通する部分でもあるBlack Lives Matterの問題に関しては、普段はそういった発言を控えていたSNSで言及している。「混血の友達も多いし、自分でも混血が大変だということがよく分かっているので。私はアジア人とアジア人のハーフなので、言わないと分からないじゃないですか。だからこそ、今までは視野になかった。意見を発信したのは、自分はブラックカルチャーが好きでブラックカルチャーを取り入れていて、でも、それは〈当たり前〉じゃないんだなということに今回の問題で気付いて、気づいたからには発言をしたかった。彼らへのリスペクトを示したかったから」

社会の不安定な空気感のせいで、自分も何か行動しなくてはいけないという焦りや強迫観念のようなものを感じる人も少なくなかったに違いない。「でも、充分だよって声を掛けてあげたいです。そうやって考えていることだけで充分だと思います。なにも出来ないというのは当たり前だし、行動を起こそうとしているから落ち込んでしまうのだと思う。行動を起こそうとしてそれが出来なくて落ち込む必要もないし、出来ない人を責めるべきでもない。出来たらラッキーぐらいに思っていた方が良いと思う」

ちゃんみな,chanmina,Angel,never grow up,新曲
COAT,TOP AND PANTS MARC JACOBS, EARRINGS BIJOU R.I, SHOSE CHRISTIAN LOUBOUTIN.

ちゃんみなが優しく語り掛けるその言葉たちを、ライブ会場で直接聞きたかったであろう大勢のファンたちの顔が浮かぶ。「テストで受かったからとか、受験で受かったから、やろうとしていた仕事ができたからと色々な理由で来てくれるお客さんをたくさん知っているので。そういう子達には何かできることをしたいと常日頃思っています。今できるというか、“今だから出来ること”は模索していますね。逆に今の状況じゃないと出来ないこととか、すごくポジティブに考えています」

ビジュアル面でも常に注目を浴びるちゃんみなだが、今作でガラッと雰囲気が変わっていることも気になる。「19歳ぐらいの頃からずっと金髪だったので、ちょっと黒髪を楽しみたいかもと思って。後、20歳を越してから自然と顔も変わって、単純に似合う物が変わったのかな。でも、今後も変わるとかそういうわけじゃなく、今回のコンセプトとしてこういうビジュアルにしました。Angelは産まれたままの姿というのが私の中でテーマとしてあったので」

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DRESS AND HARNESS VIVIENNE WESTWOOD,EARRINGS JOHN LAWRENCE SULLIVAN.

現在21歳のちゃんみな。目指す女性像を聞いてみた。「女性像とかは特になくて。自分が単純に21歳の女を楽しんでるなと思えれば(笑)。私ちょっと根暗っぽいところがあるので、クラブとかも一切行かないし、飲みにも行かない。いいなと思う事もあるけど、苦手ならしょうがないし、だからといって閉じこもるのは違うなって。だから、走ったりしてました。自分が思う美を目指すためと、21歳残り少ないですけどその間にモチベーションが高くいられて、私は21歳の女なんだっていうのを自信を持って歩けるようなことをしたいなと思ったんです。理由は本来できるものも出来なくなってしまったから。普段なら21歳の間に武道館でライブするとか、そういう目標を立てていたと思うんですけど、今は出来ないから。仕事の目標がどんどんなくなってしまった年だったけど、21歳の女という今を生きているってことは絶対になくならない」

最後にちゃんみなが大切にしていることを教えてくれた。「せっかく生きていけてるんだし、無駄にしたくないんです。ずっと肝に命じているのは、“今日が一番若い”という言葉。戻ってはこないじゃないですか。私は大人びている中学生とか高校生じゃなく、ちゃんとそれぞれの年齢を楽しんでいたんです。それを20歳ぐらいから忘れかけていた部分があったので、21歳は楽しもうって。コンプレックスや自分の好きになれない部分もしっかりと自分のものにして、自分が楽しいと思える〈今〉を作っていきたいですね」

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Credit


Photography Niko Wu
Styling Risa Kato
Make-up Yuko Nozaki
Styling Assistance Moto Ishizuka

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