一瞬の物語を繊細に写し出すフォトグラファー、ジュリアン・ウンガノ interview

脚本家、映像作家、フォトグラファーとしてマルチに活躍するジュリアンが、キャリアの転機となったティモシーとの撮影の裏話や、セレブを撮る醍醐味を語る。

by Douglas Greenwood; translated by Nozomi Otaki
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03 November 2021, 8:48am

写真に写るのは、庭園の椅子に座るティモシー。たいていのフォトグラファーが付け加えがちな余計な装飾は、すべて排除されている。ジュリアンが撮影したこのポートレートは、若き日のレオナルド・ディカプリオやブラット・パックの写真のように、このハリウッドスターにとって永遠に残る1枚になるだろう。

「僕がサイコパスではないことを、彼はわかってくれたんでしょう。何枚か撮影して、彼は授賞式に出かけていきました。まさに完璧な運の巡り合わせで、与えられたチャンスを最大限に活かすことができました」

この撮影こそが、ジュリアンのキャリアにおける新たな章の幕開けだった。最近では短編映画の脚本や監督、雑誌のエディトリアルに加え、一瞬一瞬の物語を繊細に写し出すセレブ写真家として高く評価されている。カンヌ国際映画祭からメットガラまで、あらゆる舞台でティモシーを撮影するだけでなく、リリー・コリンズやタリ「ジュリアン・ウンガノって誰?」周りが誰も自分に気づかず、そんな質問をする状況には慣れっこだとジュリアンはいう。控えめな性格のこのアーティストは、かつて身ひとつである撮影に臨んだ。それが、彼とティモシー・シャラメの初対面だ。撮影はティモシーがノミネートされた2019年ゴールデングローブ賞のレッドカーペットを歩く直前、シャトー・マーモントのコテージで行なわれた。

ジュリアンはその夜を鮮明に覚えている。それをフォトグラファーとしての最後の仕事にして、すっぱり辞めるつもりだったからだ。当時、写真の流行の変化によって、彼の仕事は激減していた。そんなとき、Cartierから授賞式の前にとある若い俳優のポートレート撮影を依頼される。彼はそのモデルがティモシーであることに薄々感づいていた。

「アシスタントもなしで臨みました」とジュリアンは『DUNE/デューン 砂の惑星』の特別試写会のあと、パリのホテルの一室から取材に応じた。「持っていったのはカメラ2台とダッフルバッグ。それだけでした」

ア・ライダーなどのポートレートも担当。彼はそれをポーズをつけがちな従来のエディトリアル写真を超え、スターのレアな瞬間を捉えるチャンスとして考えている。

「ひとつのことに集中することはないんです」と彼は自らの多様な活動について語る。「僕は重度の注意欠陥障害(ADD)です。家で何か作業をするときも、写真のレタッチや編集を25分やったら飽きてしまって、映画の脚本に取り掛かる、というような感じ」

バーモント州で育ったジュリアンの両親はヨーロッパ系で、彼が夢を追い、初めてのチャンスを掴むのを応援しくれた。彼が描く物語は、自身の幼少期や、故郷の制約と複雑な問題を反映している。

例えば、短編映画『And After All』の脚本は2011年、彼が15歳のときに亡くなった父親に続き、母親が亡くなったあとに書かれたものだ。本作は、ニューヨークから故郷に戻る女性に肉薄する。また、彼の最新作『State of the State』は、深く愛し合うカップルの視点から、バーモント州における鎮痛剤オピオイドの問題をひも解いている。

この映画と写真(彼はプラット・インスティテュートで映像を学んだ後、デヴィッド・ラシャペルのアシスタントを務めた)両方に対するリスペクトが、ジュリアンの作品の強みだ。そのイメージは、ただのイメージに留まらない。被写体の人生におけるコンマ数秒は、ゆくゆくはその瞬間だけでなく、キャリア全体を象徴することになる。

彼はセレブのクライアントの撮影に、どれくらいの時間を費やすのだろうか。「20分くらいですかね」と彼は答える。「いや、平均すると4分くらいかも」さらに緊張の強いられる場面では、ベストショットを撮るのに2分しかもらえないこともあるという。

「(ティモシーと一緒に)部屋にいるときは、ふざけてばかりいます。曲が流れて、『僕がこのアルバムを聴いてた頃は、君はまだ生まれてもいなかっただろ』なんて言ったり」とジュリアンは笑う。「僕のクライアントは、9割方そんな感じ。昔、姉妹がディカプリオとかコリー・フェルドマンとか、そういうティーンのアイドルの写真を部屋に貼っていたのを思い出します」

「彼らは成長し、大人になりました。みんな40代後半に差し掛かり、すでにこの世を去ってしまったひともいます。こういうひとたちを撮影する醍醐味は、例えば今のティミーにしても、話題になる前に一緒に仕事ができるということ。25年後にも残ってる作品を見れたらうれしいですね」

a portrait of timothee chalamet wearing prada slouching on a chair
A black and white portrait of Timothée Chalamet shot for Cartier
A black and white photo of Adesuwa Aighewi in New York
A black and white portrait of Hannah Ferguson in Milan

All imagery courtesy of Julian Ungano

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