自身もクイアであることをカミングアウトをした、サーシャ・レーンが家族、愛、プライドについて語る

カルバン・クラインがグローバルローンチしたアンダーウェアとアクティブウェアのコレクションのモデルを務めたテキサス出身の俳優、サーシャ・レーンにインタビュー。

by MAKOTO KIKUCHI
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22 June 2022, 3:00am

テキサス出身の26歳、サーシャ・レーンが人気俳優となるまでの道のりは、驚く程にあっという間だった。2016年まで地元テキサスのレストランでウェイターとして働いていた彼女。休暇で訪れたフロリダのビーチでスカウトされ、演技未経験ながら、映画『アメリカン・ハニー』の主役に大抜擢された。イギリス人映画監督のアンドレア・アーノルドと、『ムーンライト』や『ミッドサマー』などで知られる制作会社A24がタッグを組んだこの作品。その年のカンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞し、話題となった。

2018年に公開された映画『ミスエデュケーション』は、同性愛者を“治療”する機関に送り込まれたとあるティーンエイジャーについての物語だ。自身のセクシュアリティについてこれまで公に話すことはなかったが、この映画に出演したことをきっかけに、ゲイの兄弟を持つこと、自身もクイアであることをカミングアウトしたサーシャ。「相手が男性であろうと女性であろうと、私が人を好きになるとき、そこにはいつも愛の美しさがあると思うんです」と以前『Times』のインタビューで語っている。

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今年のプライド月間にあわせてカルバン・クラインがグローバルローンチしたアンダーウェアとアクティブウェアのコレクション“This is Love.”のキャンペーンで彼女は、兄弟のセルジオとの共演を果たしている。レッドカーペットを歩くときの煌びやかな姿とは対照的に、ブランドのシンプルなアンダーウェアに身を包んで、心から信頼を寄せるセルジオに寄り添っている彼女はごく自然体で美しい。トレードマークのドレッドヘアやタトゥーも、より一層目を惹く。

近年では『ロキ』や『ユートピア』といった話題作に出演するほか、トム・ホランドやアマンダ・サイフリッドと共演予定の『混み合った部屋』の制作を目前に控えるなど、女優としてのキャリアを着実に飛躍させているサーシャ。プライベートでは2歳の娘を持つシングルマザーでもある彼女に、i-D Japanはインタビューを敢行。今回のカルバン・クラインのキャンペーンにちなんで、家族や愛、プライドに関する質問を投げかけた。

──素敵なタトゥーばかりですね。なかでも最もお気に入りのものと、その意味を教えてください。

あばらにある“No women, no cry”でしょうか。傷は永久的にもなり得るけど、それにずっと囚われなきゃいけないってことはない。私はちゃんと次に進むと同時にその傷を愛することができるってことを、このタトゥーが思い出させてくれます。

──家族に由来するタトゥーもありますか?

私の娘アスターに向けた”小さいお花”と、指には私の兄弟のセルジオとお互いの筆跡で入れた”SLANE”。あとおばあちゃんに向けた向日葵のタトゥーとか他にもいくつか。

──娘さんはご自身にとってどんな存在ですか?

私の娘は大人な一面を持っていて、私よりもはるかに強くて賢い。まだたった2歳なのに、人の感情を感じ取ることができて、私が落ち込んだり途方に暮れていたりするといつも支えてくれるんです。娘と自然の中にいる時間が大好きで、いつも一緒に鳥やリスや鹿が庭に来るのを眺めています。それから彼女は私に本の音読をしてくれたり、歌ったりするのも最近大好き。本当に宝物です。

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──今月はプライド月間ですね。アスターに、プライドについて教えていることはありますか?

美しく豊かな多様性をもって育てることは意識していて、それは確実に私の勉強にもなっています。娘の側にいてくれる人々や彼らの愛、多様なパーソナリティや表現の違いといったことは、これからもずっと彼女の人生に自然と溶け込んでいくと思います。

アスターの”No”が尊重されるべきであり、これからも尊重されるのだと教えることで、将来彼女が何を進んで選択しようが、それも同じように尊重されると分かるようになると思っています。もちろん、程度次第ですが……。

──子育てをしていて、最も予想外だった発見は何ですか?

飛行機に乗るのがとても怖くなったこと。今までは落ち着ける空間で好きだったし、「もしかしたら」なんて恐怖は一切ありませんでした。でも娘が生まれて飛行機に乗らなければいけなくなった時、パニックになってわめいている自分がいたんです。これからもずっと彼女の母親でいたかったし、教えることもまだたくさんあると思ったから。彼女がどうやってブランケットに包まるのが一番好きかも私には正確にわかるし、眠い時には鼻を角でこすっているのをどう見守ればいいかもわかる。そういった瞬間に立ち会えなくなると考えただけで、どうしようもなく苦しくなりました。この子を残して、この世を去ることはできない。その時そう心に決めたんです。

──今回のカルバン・クラインのキャンペーンではご兄弟のセルジオと共演されていますね。家族の存在は、現在のあなた自身にどんな影響を与えていますか?

私の兄弟はこれまでさまざまな困難に直面しながら育ったけれど、そのなかで彼はありのままであることやそれを最大限に表現することに強みや誇りを見出してきました。その影響からか私も、他人の不快感や理解してもらえないこと、受け入れてもらえないことから逃げなければいけないのは不当だと思うようになりました。私たちは常にお互いの背中を押して高め合っているし、強い絆があるから立ち直れないほど落ちることはありません。彼は私にとっての太陽で、私は月。

──キャンペーンの撮影はいかがでしたか?

私の家族であり、親友であり、ムードメーカーのセルジオとキャンペーンに出演出来たことは信じられないくらい楽しかったし、パワフルでした。この経験を彼とシェアできたことはとても光栄です。ビルボードを見ると「……私たちだ !」とハッとします。いつも世界の中心で彼への愛を叫んでいるから、二人でこうやって表に出られたことは本当に最高で、一生忘れない思い出になりました。それからキャンペーンビデオが……! もうたまらなく素敵!

──今回のキャンペーンのテーマは“This is Love”。日常で愛を見いだすのはどんな瞬間ですか?

私は日々、自分がこれまで一生懸命作り上げてきたシャボン玉の中にいるような気がしています。自分の人生にとって良いと感じられるものだけを取り入れて、それを全力で守っている、そんなイメージ。リビングで家族と座っているだけで、ふと「これが愛なんだ」と感じるから、私は本当に幸せ者です。私の選んだ家族は何があっても絶対的に私をサポートしてくれるし愛してくれます。だから、自分は正しい選択をしたと胸を張って言えるんです。

──あなたにとって、愛とは?

私にとっての愛は、人生の勝利。愛がなければ人生の中で必死に努力して掴んだものも、すべてに意味がなくなってしまう。愛がなければご飯もおいしくないし、良い涙も良い笑顔もない。愛無しに分かち合う価値のあるものなんて、この世にないんです。

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