TOMO KOIZUMI のコレクションに ローレン・サイ、玉城ティナも登場
デザイナーの小泉智貴が、寺島しのぶ、玉城ティナ、大島優子、ともさかりえ、アイナジエンド、中山咲月など、総勢13名を真紅のランウェイに招いた。独特なカラーコンビネーションで描くラッフルドレスは、華やかかつ確かに、彼女たちの存在と共鳴し、祝福の時間をもたらした。

ラグジュアリーホテルのエレベーターに乗って到着したのは、レッドカーペットが敷かれたランウェイだった。楽天ファッションによる「by R」のプログラムの一環として行われる、東京では2度目となるTOMO KOIZUMIのショーが、モーリス・ラヴェルが作曲した高揚感のあるバレエ曲、『ボレロ』とともに開幕した。
ラインストーンのトリミングが特徴的な長いトレーンをひくソワレと、優美で力強いオーガンジーラッフルの巨大なロングラインケープを着た、女優・モデルのSUMIREが現れる。ストロボライトのリズミカルな発光によって、会場はまるで映画祭のプレミアやレセプションのようなムードに。演出は、蜷川実花が手がけた。

刻々と時間をかけて、女優の森川葵、ラッフルを襟とパンツの両サイドにトリミングしたパンツスーツを着こなす俳優の中山咲月が、次々に祝祭的なキャットウォークで歩みを進める。続いて、松田ゆう姫、玉城ティナ、アイナ・ジ・エンド、ローレン・サイ、仁村紗和、1998年生まれのシンガーソングライター、Little Black Dressは、時に観客席に笑みをこぼしながら、自信に満ちた佇まいだ。独自な色彩の調和が目を引くロングドレスからフェミニンなミニドレスまでそれぞれのパーソナリティを賛美する、コスチュームにルーツを持つデザイナーらしい選択が伺えるドレスを纏っている。カラフルだが、深みのあるカラーパレットとささやかな光沢感でポライトな印象を残す彫刻的でシンボリックなラッフルに、蛍光色や鮮やかなサテン、精緻にラインストーンを合わせるコントラストのあるコンビネーションが、「COLLECTION 2023」のメインアプローチだ。欠かせないのは、芸術的で、直感的に美しく、楽しいということだ。



ショーは終盤。アタッチャブルな巨大なラッフルパーツをウエストマークした大島優子、女優のともさかりえは、マーメイドラインのドレスを大きく揺らして闊歩していく。耳元にエレガントなジュエリーを携えた歌舞伎役者の八代目市川染五郎は、目の覚めるビビッドオレンジのセットアップに、巨大なマントのようなケープを。そして、深海に潜ったかのようなブルーのオーセンティックなドレスに身を包む、寺島しのぶによる品格のある歩みによって幕を閉じた。


小泉智貴が、「世界中のアーティストや役者、ダンサーといった自分のアティチュードを持っている表現者と自分の洋服がどう共鳴していくかに興味がある」と、かつてi-Dに語ったことを思い出した。国内外のセレブリティやアーティストに愛されるドレスを作り続け、たくさんの“共鳴”を生み出してきた彼が志向したのは、レッドカーペットを彩った大女優の面々から、未来にそこを歩くに違いない人々を夢のようなドレスによって讃美することだった。彼のドレスが謳うのは、人々の存在感、そしてきっと、内面から溢れ出るエネルギーへの讃歌なのだ。



