あなたにとって「No War」とは何か?「NoWar 0305」で聞いた24人の声〈後篇〉

GEZANと主宰レーベル〈十三月〉からなる全感覚祭により開催された反戦街宣「No War 0305」。アーティスト・嶌村吉祥丸が撮影したポートレイトとともに、i-Dではインタビューを敢行。当日来場した24人の声を掲載する。

by Moe Nishiyama; photos by Kisshomaru Shimamura
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30 March 2022, 8:40am

〈前篇〉はこちら

「ほしいのは熱狂ではなくそれぞれの実感でたどり着いたNO WAR。そして言葉にすることには確かに意味があると認め合いたい」(ー『No War 0305』Statementより)

マヒトゥ・ザ・ピーポー率いるGEZANと主宰レーベル〈十三月〉からなる全感覚祭により開催された反戦街宣「No War 0305」。戦争反対を呼びかけ、今なお続くウクライナ侵略により危機的な状況に置かれている人たちへの寄付を募ることを目的とした音楽とスピーチによるアピールは日中から日没まで約6時間に及び、折坂悠太、七尾旅人、坂口恭平、大友良英、切腹ピストルズ、カネコアヤノ、原田郁子、篠田ミル、踊ってばかりの国、テニスコーツ他、呼びかけに賛同した19組が参加した。

思い思いの「No War」のプレートを手に持ち、いまだ言葉にならない気持ちを抱えて会場に集まったのは年齢、国籍、性別もさまざまな人たち。皆異なる背景と価値観の中で生きてきて、集まった理由も一人ひとり異なるはずだ。戦況が刻一刻と変わり報道もやまないなか、私たちにできることは何なのか。そしてあなたにとって「No War」とは何だろう?  大きすぎる問いに、正解などないかもしれない。だからこそ今、一人ひとりの声に耳を傾ける必要があるのではないか。

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i-Dはアーティスト・嶌村吉祥丸と共に、会場に足を運んでいた24名にインタビューを敢行。それぞれが現時点で考える「No War」について話を聞いた。後篇では、湊あす香 (俳優/大学生)立山大貴 (写真家/Spiral Club メンバー)Kumiko Sannomaru(スタイリスト)eucari(musubi magazine編集長)mayuko(producer)中村萌(会社員 / 環境活動家)、natsumi(会社員)、倉沢こと(会社員)、eri(DEPT代表/アクティビスト)瀧上かれんBambou yuzu(model)の声を掲載する。

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湊あす香 (俳優/大学生)

── 「NoWar 0305」に参加した理由は?

純粋に音楽が好きなのもあるけど、日々ニュースを追う中で、たくさんの人の意見を聞こうと思ったから。

── あなたにとって「No War」とは?

安心して眠りにつけて、気持ちよく目覚めて、ご飯を食べて、人と会って、笑い合える環境。

── 戦争について今感じていること、疑問に思うことがあれば教えてください。

心が疲弊しない程度に、今起きていることに関心を持つ。偏った思想を持っていないか、常に自分に問い続ける。情報を見極めて、自分なりに咀嚼して意見を持ちたいと思った。これを機に、中東やアフリカで起きている内戦にも目を向けたいと思う。声を上げることはとても意味のあることだと感じた。

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立山大貴 (写真家/Spiral Club メンバー)

── 「NoWar 0305」に参加した理由は?

日々ニュースを目にしながら、人と人が殺し合ってしまっていること、プーチンの行動や思考を生み出してしまった環境について想像し、モヤモヤしていた。そんなモヤモヤから、次に自分ができる行動が、反戦集会に行くことだった。自分は東京に住んでいて、時間と心と体の余裕があって、行く権利を持っていた。小さな声が集まって可視化されることの意味や、その力を信じていた。戦争のない世界を当たり前にしなければいけないし、先祖が一歩ずつ築いてきたその世界を、次の世代に渡すのは自分たちの役目だと思ったから。

── あなたにとって「No War」とは?

自分にとって当たり前だったこと。声にして叫ばなければいけない日はもう終わりにしたい。ウクライナとロシアに限らず、いまだに当たり前ではない地域に住む人たちがいることも思い出した。

── 戦争について今感じていること、疑問に思うことがあれば教えてください。

戦争は一人の力では起きえない。プーチンが指示をしたが、プーチンの思考の種を育てた環境があるはずだし、実行に移せる武器や兵士などの環境もあった。今回の戦争が起きた事実には、人やモノや歴史や文化、いろんな環境のレイヤーがあって、その根っこを変えていかなければいけない。戦争しようなんて思考が育たない土壌を作る。そうしないと、プーチンがいなくなっても、どこかでまた同じようなことが起きてしまう。

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Kumiko Sannomaru(スタイリスト)

── 「NoWar 0305」に参加した理由は?

友達が参加していたり、手伝ったり、見てみたいアーティストが出ていたし、デモには今まで参加したことがなかったけど、これは行かねばという気がしたから。

── あなたにとって「No War」とは?

記号?なのかな。行動、発信することに意味がある感じでその名称みたいなイメージ。

── 戦争について今感じていること、疑問に思うことがあれば教えてください。

ただたんに戦争は良くないという教育を受けてきて、絶対に自分の身近では起こらないとどこかで信じてきてしまっていた。でも今回のことで、そうじゃないってこと、人と戦争が起こる原因や戦争について、話したことがないことに気がついて、なぜそういうことが起こるか、デモってなぜ意味があるのか知りたくなり、人と話してみたくなった。行ってみて皆さんの演説を聞いたりすることで、声をあげることって大切だと感じた。

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eucari(musubi magazine編集長)& mayuko(producer)

── 「NoWar 0305」に参加した理由は?

eucari:今日は表参道のデモにも友達と参加した。今ここでできることは限られているから、できることを最大限やりたい。私と同じような普通の生活をしていた人へ、世界中があなた一人ひとりをサポートしていると伝えたい。

mayuko:ウクライナの友達をサポートしたい気持ちから。募金や、ボランティアができなくても、声を上げる事でも大きなサポートになると信じている。

── あなたにとって「No War」とは?

eucari:この言葉が主張される必要のない世界が早く来てほしい。

mayuko:絶対。これ以外ない!

── 戦争について今感じていること、疑問に思うことがあれば教えてください。

eucari:ひとりのエゴが多くの人を傷つける、この世界の不条理。この地球すべての人が何の不安もなく自分を愛し、人を愛し、すべての命を祝福できますように。

mayuko:一人一人は小さいかもしれないけど、声を上げ続けることが大切。チリも積もれば山となるで、みんなで話し合ったり、考えることが重要。日々の生活の中に擦れさせないよう、毎日考えて、声を上げていかなければ。

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中村萌(会社員 / 環境活動家)

── 「NoWar 0305」に参加した理由は?

今ウクライナで起きている戦争に反対しているから。

── あなたにとって「No War」とは?

2月24日以前の「No War」は歌の歌詞やTシャツのプリントとして目にするただのフレーズだった。いま「No War」はその言葉に現実味を帯びて、取り戻すべき社会のあり方を指している。(以前から終わらない紛争や戦争は起きているので、実際には「No War」はその前から取り戻すべき社会のあり方だったはずだけれど)

── 戦争について今感じていること、疑問に思うことがあれば教えてください。

プーチンには愛する人がいないのだろうか? プーチンはなぜ想像することができないのだろうか? なぜ市民が犠牲になる戦争がまかり通っているのだろうか? ロシアによる軍事侵攻には、理解できない不条理なことが多すぎる。戦争が終わったとしても、癒えない傷を抱えながら生きていく人のことや怒りや憎しみの種が人々の心に残り続けることを考えると本当に心が痛い。誰か、プーチンに愛と想像力を与えて戦争をやめさせてほしい。2月24日以降、仕事や日常で精一杯だったわたしはこの戦争について考える余裕を持つことができなかった。「大変なことになってしまった」と頭では理解していたので、新聞を読んだりTwitterを見たりいつも以上に情報には触れていたが、どこか「人が人を殺している」ことをリアルに考えることができずにいた。そんな中参加した「NoWar 0305」は、本当の意味でこの戦争について考えるきっかけになった。特に七尾旅人さんのパフォーマンスを通して、日々の忙しさで枯れていた「想像力」を取り戻した。彼の歌を聴きながら、訳もわからず戦場に送られるロシアの若い兵士のこと、罪もなく戦争に巻き込まれて死んでいった人々、理由もなく愛する人を失った人々のことを想像した。反戦の気持ちをどこに向けて良いかわからずここに来た人々が、歌を通して「もう殺すなよ誰も」と口にするその情景が奇跡のように感じ、そんな機会を作り出す音楽というもののパワーを感じた。

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natsumi(会社員)& 倉沢琴(会社員)

── 「NoWar 0305」に参加した理由は?

natsumi:今とこれからの自分に何ができるのかを考えるため。

倉沢琴:ウクライナに友人がいるので、連帯を示したいと思ったのが1番大きな理由です。また、同日に開催されていた反戦パレードにも参加しましたが、クリエイティブに関わる仕事をしているので、「NoWar 0305」では、音楽や表現がどう人や社会に作用・影響するのか見たい、体験したいという気持ちもあり参加しました。

── あなたにとって「No War」とは?

natsumi:発する必要がないはずの言葉であり、逃れられない現実。

倉沢琴:理不尽な殺傷や暴力に反対すること。理屈や頭で考える以前の人間としてのモラルのように感じます。

── 戦争について今感じていること、疑問に思うことがあれば教えてください。

natsumi:流れた血と涙は、時間は、永久に取り戻すことができない。その心臓が、鼓動が、人間同士の争いによって止められることほど愚かなことはあるのか。生きることの中にこそ、真の戦いがあるのに。みることをしなくても実在している戦争を、みるということ。そのまなざしが交わったこの場で、人間の本能的行為と愛の温度を感じました。あれから私たちが、個人を離れたところに何を背負って生きているのか考えています。そして一つひとつの行動や想いが、大きなうねりとなると信じています。息が詰まるような日々が、少し解けるような時間でした。

倉沢琴:早く終わってほしい、どうしてこうなってしまったんだろう、とか、報道の自由、メディアの影響力についてなどなど、毎日色々な感情や考えが出てきます。今は、バタフライエフェクトみたいに、毎日の自分の選択や生き方が戦争も含めたあらゆることに繋がってるんじゃないかということを強く意識するようになりました。どう生きていくか良く考えないといけないと余計に思います。ステージでも会話されていましたが、皆がバラバラで、でもそれぞれに考えていて、それを交換したり共有したりすることや、考え続けることの大切さをあらためて感じました。

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eri(DEPT代表/アクティビスト)

── 「NoWar 0305」に参加した理由は?

連帯の気持ちを表したくて来ました。

── あなたにとって「No War」とは?

私たちの権利。

── 戦争について、今感じていること、疑問に思うことがあれば教えてください。

一部の人の思惑のために起こった戦争で、どちらの国も、そこに住む市民が犠牲になっていく様子をみるのは本当に心が苦しいです。これは私たちにも起こり得ることであることを忘れてはいけないと思いました。エンパシーをもってこの事態を見つめれば遠い国で起こったどこかの国の戦争ではないことに気付きます。改めて、憲法9条を守り、私たちは戦争をしない、いかなる戦争にも加担しない、そう胸を張って生きていきたいって思いました。

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瀧上かれん & Bambou yuzu(model)

── 「NoWar 0305」に参加した理由は?

瀧上かれん:ただニュースを眺めているだけでは、このモヤモヤした気持ちをどこに向けて良いのか分からなかった。今、自分にできることの一つが反戦集会に参加することだった。

Bambou yuzu:友達の誘いで一緒に参加した。ウクライナとロシアの戦争が始まって、許せないこの気持ちを、何かできることはないかと思い「NoWar 0305」に参加した。

── あなたにとって「No War」とは?

瀧上かれん:本当は発する必要のない言葉。だけど今の現実はそうじゃない。「No War」と声を上げ私たちが連帯することによって、社会が変えられることを身をもって示すことができる。その声によって救われる人がいることを忘れてはならないし、希望の光になると信じている。

Bambou yuzu:まずは自分の隣にいる人から愛すること。

── 戦争について、今感じていること、疑問に思うことがあれば教えてください。

瀧上かれん:まずは自分で考える。疑問に思うことに対して想像力を膨らませて、答えを導き出し、行動しながら示していきたい。その一瞬一瞬を繋げていくことが大切だと思いました。

Bambou yuzu:何があろうと私は戦争には絶対に反対です。罪のない人達が怯えて過ごされてる事にすごく胸が痛みます。友達と遊んだり、家でゆっくり映画をみたり、好きな人と街を散歩したり、そんな人々の当たり前の幸せを奪うの行動は理解できませんし、サポートできません。私は学校ではもちろん、教科書でもたくさん戦争の悲惨さついて学びました。なのに、どうして歴史や失敗から学ばないか疑問に思います。こんな豊かな地球に住んでいて分かち合うことができないのか…私はこんな世の中だからこそ、愛を基盤に接したい。そのエナジーに勝る武器はないと思います。

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「No War 0305」でのウクライナ人道支援の寄付金についての報告は下記より確認可能だ。

#NOWAR0305 〈ウクライナ人道支援への寄付についてご報告〉

また、現在ウクライナの人々のために下記の団体から募金活動することができる。

UNHCRユーエヌエイチシーアール(国連難民高等弁務官事務所)への募金

1950年に設立された国連の難民支援機関です。紛争や迫害により故郷を追われた難民・避難民を国際的に保護・支援し、水や食料・毛布などの物資の配布や、難民キャンプなどの避難場所の提供、保護者を失った子どもの保護や心のケアなど、最前線で援助活動に尽力しています。1991~2000年の間、緒方貞子さんが第8代国連難民高等弁務官を務めました。
この国連の難民支援活動を支えるため、広報・募金活動を行う日本の公式支援窓口が、国連UNHCR協会です。

ユニセフ(国連児童基金)への募金
ユニセフ(国連児童基金)は、パートナーとともにウクライナの人道支援の最前線に立ち、長引く紛争の影響を受けた厳しい状況にある子どもたちやその家族に、支援を続けています。

24人の「No War」。「No War 0305」から今できることを考える。〈前篇〉はこちら