新型コロナ禍を支える、影の立役者たちに光をあてるアート・プロジェクト

ポートレートシリーズ〈People of the Pandemic〉は、清掃員、スーパーの従業員、デリバリーサービスのドライバー、郵便配達員、母親など、パンデミックのさなかで私たちの心身の健康を守ってくれるひとびとに焦点を当てている。

by Roisin Lanigan
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24 April 2020, 5:13am

新型コロナウイルスが世界中の医療システムや経済に打撃を与えるなか、私たちに勇気を与えてくれる日常のヒーローたちに注目し、彼らの働きに感謝を伝えよう、という動きが広まっている。

ヨーロッパ、ニューヨーク、武漢の自宅待機中のひとびとは、バルコニーから医療関係者を応援し、一斉に拍手を送って彼らへの支援を表明した。しかし、このパンデミックにおける影のヒーローたちを見過ごしてはいけない。私たちの社会を支えているのは、清掃員、スーパーの従業員、社会の維持に不可欠な職種のひとびとだ。

〈People of the Pandemic〉は、これらの日常のヒーローの支援を目的に発足した写真プロジェクトだ。

「あまり注目されることのないヒーローたちを称え、彼らの声を広めるのが狙いです」と本プロジェクトを発足したジャスミン・オハラは語る。「例えばスーパーマーケットの従業員、Deliveroo(※英国発のフードデリバリーサービス)のドライバー、郵便局の職員などです」

ジャスミンはボーイフレンドのジョシュア・クームズとともに、ポートレートシリーズとして〈People of the Pandemic〉を始めた。普段はパンデミックとは無関係な分野でアクティビストとして活動するふたりだが(ジャスミンは世界の難民キャンプを支援するオンラインコミュニティを運営、ジョシュはホームレスのひとびとのための美容師)、ロックダウン中に何をすべきか途方に暮れ、彼らが暮らすロンドンにもっと密着したプロジェクトを立ち上げようと考えた。

ふたりが最初のポートレートを撮影したのは、近所のスーパーAldi。店の前に並ぶパニックになった買い物客に対応する従業員の姿を、正面からカメラに収めた。

「このプロジェクトのきっかけとなったのは、ジャービスという男性です。彼は私たちが3月末にたまたま支払いをしたAldiのレジ係でした。彼が素晴らしい知恵を与えてくれたんです」とジャスミンは説明する。

ふたりがジャービスの思いやりに満ちた、お互いに助け合おうというメッセージをInstagramで公開すると、閲覧者は数千人に達した。

その後、ポートレートは自然と増えていった。本プロジェクトのためにInstagramアカウントを開設したふたりは、多くのクリエイターやフォトグラファーがポートレートを投稿するこのプラットフォームで、撮影方法についてもクリエイティブな手法を生み出した。

「状況は日に日に変化していきます」とジャスミンはいう。「このフォトシリーズを思いついたのは、まだロックダウンが発表される前のことでした。ですから撮影については、もっとクリエイティブな方法を編み出さなければいけなくて。今日は郵便配達員を(もちろん安全な距離を保って)撮影し、みんなに身の回りのヒーローのポートレートを送ってほしい、と呼びかけました」

「つまり、思い切って玄関から外に出なくても、日常のヒーローは私たちの身の回りのあらゆる場所にいるんです」

英国でのロックダウンは、少なくともあと数週間は続く見通しだ。そんななか、〈People of the Pandemic〉は自らのプラットフォームを活用して見過ごされがちなひとびとの声に焦点を当て、試練の時にもクリエイティビティを失わずにいよう、と呼びかける。

「今はさまざまなことが普段とは違い、違和感を覚えるかもしれませんが、クリエイティビティを導き出す方法は必ずあります。ですが、このポートレートを通して身の回りの日常のヒーローたちにもっと関心と感謝の心を持ってもらうのが、私たちのいちばんの願いです。彼らへの思いやりを行動で示し、彼らの貢献を称えたい。彼らの声を広め、誰もが深い孤独を抱えているときにもひとびとを繋げるのが、このプロジェクトの目的です」

This article originally appeared on i-D UK.

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