新生FERRAGAMOと共鳴するラッパー、Novel Core。「こうあるべき」という固定観念は要らない。

マクシミリアン・デイヴィスによる新生FERRAGAMOの初コレクションを身に纏ったラッパー、Novel Coreにインタビューを敢行。SKY-HI主宰のレーベル“BMSG”に第一弾アーティストとして所属し、来年には武道館でのワンマンライブも控える若き日本の才能に話を聞いた。


FERRAGAMOがブランドの改革を図るため、弱冠27歳ながら新たにクリエイティブディレクターに抜擢したマクシミリアン・デイヴィス。そして、今回そのデビューコレクションとなる2023年春夏のルックを着てモデル出演してくれた[Novel Core](https://www.instagram.com/iamnovelcore/)は、日本の音楽シーンの新たなキーマンとなる可能性を秘めた22歳のラッパーだ。日々変わりゆく東京の街をバックグラウンドに、大胆に生まれ変わった新しいFERRAGAMOを堂々と着こなしてくれた。

id_japan on March 17, 2023: "新生 @ferragamo を、ノスタルジックな雰囲気の残る東京の街を背景に鮮や�..."

i-D JAPAN on Instagram: "新生 @ferragamo を、ノスタルジックな雰囲気の残る東京の街を背景に鮮やかに着こなしたのは、ラッパーの @iamnovelcore とモデルの #AyumiTurnbull の2人。撮影した全写真を @id_japan のWEBからチェック。"

**──今日はありがとうございました。FERRAGAMOの最新コレクションを着ての撮影でしたが、いかがでしたか？**

 とても楽しかったです。ルックのテイストも含めて今までチャレンジしたこともなかったことが多かったですし。ジェンダーレスさとモードなど、色々なものが混在している感じのテイストがすごく新鮮でした。あと、普段は自分でディレクションをして撮影することが多いので、こうやってたくさん指示して撮影していただけるのも楽しかったです。

 **──FERRAGAMOは今若い世代からも親しみやすいブランドへと変化していますが、Novel Coreさんはブランドに対してどんなイメージを持っていましたか？**

若いデザイナーが新たにクリエイティブディレクターになったり、段々とユースの子たちの方にもフォーカスが当たってきている気がします。その中で先進的なデザインであっても、根っこにちゃんとFERRAGAMOの築いてきたカルチャーみたいなものが入っている感じがして、その両方の要素を感じられるのがカッコいい。

**──それこそ新しいクリエイティブディレクターのマクシミリアン・デイヴィスはまだ27歳です。Novel Coreさんも22歳と世代も近いですよね。**

 自分の姉より若いので結構身近に感じますね（笑）。今世界的にも若いデザイナーさんが一線に立って率いてるのを見て、自分も音楽をやっていて若い世代が引っ張っていくことはすごく意識している部分なので、そういう意味でも印象が強いです。

**──今回のFERRAGAMOは、ブランドの歴史に敬意を表しながら、新しいものも取り入れているのですが、そういったクリエイティブの姿勢に共感する部分はありますか？**

 僕がメインコンセプトにしていることの一つがそれに近いです。先人が作ったものを、そのままなぞるのではなく、今の時代に合ったものへと再解釈をし咀嚼して、また新しい形で吐き出すことを繰り返しサイクルが回り、カルチャーが育っていく。新しいものを生み出すっていうことが、自分たちの今いる土台を作ってくれた先人たちへの一番の敬意という感覚が強くあります。僕も色々なジャンルをミックスした音楽を作ったり、新しいことに挑戦しようすることをやり続けているので、すごく共感しますね。

**──音楽やファッションに限らず、若い世代のクリエイターに今必要なことは何だと思いますか？**

難しいですけど、少なくとも僕が意識しているのは、「こうあるべき」の数を減らすということ。ジャンルとか国境とか性別とか年齢とか、色々な境界線がそれぞれあると思うんですけど。これだけ全部の境界線が薄くなって全部が総合的に見られる時代になったからこそ、今はこうあるべきという固定観念をできる限り無くして、それぞれが「どうありたいか」で動ける時代を作った方がいい時代になるんじゃないかなと個人的には思う。

僕はこうあるべきという価値観に、音楽業界に入った当初すごく苦しめられたタイプだったので。例えばラッパーだったら歌うなとか、そういうことに結構プレッシャーをかけられた時代がありました。それぞれがどうありたいかで、自分のプレゼンス（存在）を外に向けて発信していけるようになれば、もっとカルチャーも大きく発展し、国と国の間の境界線もなくなるんじゃないかなと思います。

**──Novel Coreさんはファッションも普段から固定観念に縛られず自由な感覚で楽しんでいられるようなイメージがあります。**

ファッションは基本的に自己表現だと思っています。ネイルをすることもそうですが、その日の自分のマインドに合ったファッションに変えることによって、自分を別人に変えることもでき、逆算方式で服を選んだりします。あと、やっぱりカルチャーをミックスさせることがすごく好き。ストリートとモードを組み合わせたり。そういうことがタブー視されていた時代もあったと思うんですけど。自分はそこに対してはすごくポジティブですね。ファッションに関しては、マリリン・マンソンやそれ以降の世代に割と影響を受けています。ジェンダーレスであったり、境界線を設けないという感覚にすごく共感してここまで来ました。スカートがかっこいいとか、そういう感覚がずっと小さい頃からありますね。

**──先日リリースされたEPのタイトルを『iCoN』にしていますが、Novel Coreさんにとってのアイコンは？**

いっぱいいるのですが、ファッション的な意味も込めて言うとG-DRAGONに影響を受けています。彼は音楽やファッション、アートを通じ自分の内側にある様々な感情を一つの形に昇華し、ファンたちにサプライをし続けている人です。その彼に憧れて、同じように感情表現をアートにしてみたりする子たちが、ファンの世代に多くいるということがすごく象徴的だと思います。あと、彼が弱いところを絶対に隠さないところ、そこに強く共感します。何十万、何百万人という沢山の観衆を前にして、僕は1人の人間でしかないというメッセージをしっかり外に出せるメンタリティがあるのは、すごい大事だと思うんです。ラッパーだからカッコつけるとか、SWAGを身に纏うという、ある種のマッチョイズムは今の音楽業界ではかなり変わってきたのではないかと思っています。

**──先程の「こうあるべき」の数を減らすという話にも繋がる気がします。**

もちろんどっちもかっこいいのですが、個人的には素直であることや等身大であることが一番居心地よかったので、G-DRAGONのようなアーティストの存在は、自分にとってすごい救いでした。

**──EPのタイトルを『iCoN』にした理由は？**

22歳になるタイミングでのリリースだったので、「僕は今後何になりたいんだろう？」というのを改めて考えたんです。憧れを抱かれるとか、崇拝されるような手の届かないスターやカリスマ的な存在になりたいという欲は全くなくて。自分のファンの子たちや、周りにいる人たちの心の奥底にある弱さとか、ネガティブな感情や不安とかそういうものもひっくるめて代弁できるアーティスト、スピーカーでありたい。自分たちこそが、この今の複雑な時代を生きる中で生まれる感情の象徴なんじゃないかということで、アイコンと名付けました。

僕は、生きていると自然に生まれてくる、様々な感情の全てを肯定したいという感覚がすごい強いんです。めちゃくちゃ極端な話ですが、何かがあって死にたいと思ってしまったときに、その感情が生まれたこと自体は否定したくないというか。それはその人がいろいろ多分考えた結果で、その答えが出てくるので。それでその感情が生まれたこと自体を肯定し、受け入れた上で、もっといい方法がないかということを探りたいですね。自分がライブの規模を拡大したりとか、アーティストとしてのキャリアを大きくしていくのは、単純に味方だと思える人の数をファンも含めて増やしていくためだと思っています。みんなにもそれを感じてもらえたら嬉しいなと思っています。

**──来年には武道館でのワンマンライブが控えていますね。**

当然このレベルまで行くと責任も大きく伴ってくるので、良いものにしなくてはという気持ちがすごくありますが、やることはいつもと変わらないので。ドームやアリーナと、どんなに会場が大きくなっても、世界に進出しようとも伝えることは変わらない、根っこは何も変わらない。ひたすら地道にやっていこうかなと思ってます。

_FERRAGAMOファッションストーリーは[こちら](https://i-d.vice.com/jp/partners/ferragamo/novel-core-ayumi)_

**STARRING  
**[Novel Core](https://www.instagram.com/iamnovelcore/)

Creative Director [Kazumi Asamura-Hayashi](https://www.instagram.com/kazumi_asamura_hayashi/)  
Creative Producer [Emi Arai](https://www.instagram.com/emi1027/)

Editor/Text [Sota Nagashima](https://www.instagram.com/sota_ngsm/?hl=ja)  
Photography [Den Niwa](https://www.instagram.com/den.niwa/)  
Styling [Shohei Kashima (W)](https://www.instagram.com/shoheikashima/)  
Hair [Hirokazu Endo](https://www.instagram.com/hirokazu_endoo/)  
Make-up [Nao Yoshida](https://www.instagram.com/naoyossii/)  
Photography assistance Ino. Jade.  
Styling assistance Rei Otani. Motoki Ogata. Konosuke Toyoda.