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現実的に 不可能を求めて

人気テレビドラマ『Black-ish』のスターであるヤラ・シャヒディ。彼女は女優という立場を利用してフェミニズムと多様性を擁護している、聡明で意欲あふれる17歳だ。そんな彼女が、自身のアクティビズムと演技がいかに結びついているかについて、力強いことばを寄せてくれた。

by Yara Shahidi; translated by Momo Nonaka
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okt 11 2017, 9:21am

This article originally appeared in i-D's The Acting Up Issue, no. 349, Fall 2017.

映像における多様性についてわたしたちが語るとき、それは肌の色についてだけの話には決してならない。それはジェンダーのアイデンティティ、流動性、そして性的アイデンティティについての話でもあるの。わたしたちはアイデンティティを、すごく多面性のあるものとして語りたいんです。これまで多様性の定義は広がり続けてきたし、これからもそうじゃなきゃいけないんだから。

『Black-ish』は黒人家族と、現代の社会情勢のもとで黒人の子どもを育てることの複雑さを扱ったテレビドラマ。黒人でいることの意味、人間でいることの意味、家族でいることの意味が描かれています。このドラマは社会問題についての国民同士の対話を促しました。警察の暴力について語るエピソードでも、二人種間に生まれる複雑さについても。わたしたちは大統領選の重要さについても語りました。『Black-ish』は誰かの考えかたにフォーカスするというより、視聴者が建設的な対話の重要性を見て感じるように促しているんです。

Yara wears top, rollneck and skirt Simone Rocha.

わたしたちのコミュニティは多様で、だからこそ、その多様性を反映したテレビ番組がもっと必要なんです。いま世界で実際に起こっていることについて語るのを怖がってる番組が見たい人なんて誰もいない。わたしは、歴史と過去の政治的ムーブメントを理解し、わたしがいまこうしていることを可能にした人々、わたしがこの世界でうまくやっていけるような道を切り拓いた人々について学ぶのが本当に大好き。わたしがここで自由に生きていられるのは決して偶然じゃない。これまでたくさんのムーブメントや記念碑的な出来事があったからこそ、わたしたちのアイデンティティは豊かに広がっていくことができたんだから。わたしたちはもっと包摂的になって、あらゆる人々を理解できるようになるよう努力し続けなくちゃ。わたしの周りには、すべての人々が受け入れられるシステムを作り出そうとして個人的責任を果たしてきた人たちがいっぱいいるから、いつも刺激されてるの。うちの家族だったり、チャンスやソランジュみたいにメッセージを音楽にしっかり染みこませてきたアーティストだったりね。

Top, rollneck and skirt Simone Rocha. Boots Chanel.

アクターとして、わたしの役割はこの世に貢献することだと思っています。アクターは対話をはじめたり、かつて語られたことのない物語に命を吹き込んだりすることによって、新たな語りを生み出すことができると信じています——大勢の人々がそこで語られていることを自分に関係のあることとして捉えるだけでなく、そのストーリーの背景にある人間性を本当に理解する助けになるような。自分が関心を持っている政治問題を人々に理解してもらうためには、人間らしさみたいなものが必要。理論とか経済的効果を説明するだけでは、その政策が与える影響の人間的な要素はわかってもらえないでしょ。わたしたちはアクターとして、ニュースで議論されているのとは別のかたちでそういった物語を伝える力を持っているんです。

Dress and belt Preen by Thornton Bregazzi. Boots Ellery.

じゃあ、どうやったら変革のための行動をできるようになるのか。わたしはアクターとして与えられた立場を利用できるけど、もし自分の強みがはっきりしていなかった場合にどうやったら本当にインパクトを与えることができるのか、見極めるのは難しいよね。わたしは、大事なのは大きな波を立てたり、大勢の人に語りかけたりすることじゃなくて、自分自身の生活に目をやって、自分の周りの人々を助けることだって心から信じてる。あなたにだってそれはできるはず。わたしたちの世代にはソーシャルメディアを使いながら教育を続ける力がある。わたしたちは自分自身のための支援とリソースをみつけるのと同時に、他の人々を支援することもできる。一度ツイートしたらそれが永遠に生き続けるというのはこわいことかもしれない——でもそれはあなたも実際の変化を生み出すネットワークの一部になれるってことでもある。ネット上のコミュニケーションで最も難しいのは、どうやったら人々の意見を変えることができるかを想像すること。もし自分が性同一性や性自認の考えかたがすごく二元論的な環境で育っていたら、そうじゃないものをどうやったら理解できるか?これを思いやりのない立場から話すんじゃなくて、自分がどう感じ、考えているかを言語化して、すすんで理解しようとすること。アイデンティティ、ジェンダー、セクシュアリティなどについて人間の多様性の大切さを説明しようと努めることが、わたしなりのアクティビズムへのアプローチだと思ってる。

All clothing Monse.

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最終的に目指しているのは、みんなを代表する声になるというより、すでに自分自身の声を持っているはずの人々が語り出せるようにすること。もしわたしが、わたし自身よりも友達に関わってくる問題について話すことになったら、それについてちゃんと正しく気持ちを込めて語れるようになりたい。もし何か間違えたら、またその件について語ることを怖がるんじゃなくて、いま学んでいる最中なんだってことを忘れないようにしたい。わたしたちは教育にアクセスできて、個人と個人がつながれる世代だけれど、「間違っている」ことについての恐れもある。人のことをバカにしたり、ネットで揚げ足を取ろうとしたりする人たちもいるから、そういうのがいやで声を出すのが怖くなることもあるよね。でもその怖れを振り払って、常に進化し、進歩し続けようって立場からアプローチすれば、最終的にはわたしたちを導いてくれる人々の美しいコミュニティをみつけることができる

Coat and dress Preen by Thornton Bregazzi.

このトランプ政権全体に関してわたしが気づいたのは、2017年とジェネレーションZの文脈においては奇妙に見えるけど、それと同時にもっと広い視野からするとちっとも奇妙じゃないってこと。歴史は巡るもので、いつでも進歩がなされている一方で、ちょっとマヌケなことも起こる。前進の動きは常にあるけれど、でもわたしたちは違う文脈の中での似たような状況にたびたび対処しなくちゃいけないものだって考え方もある。いまわたしたちが解き放とうとしているのはクラーケン——つまりわたしの世代、ジェネレーションZ!すごくたくさんの若い人たちがもうすぐ選挙権を手にするから、投票のしかただけじゃなくて投票の意味するところをわたしたちひとりひとりが理解しなくちゃ。18歳になるのを待って投票するだけじゃなくて、成長のあらゆる時点で能動的な市民になるってこと。能動的な市民権はいろいろなかたちで現れる。どうやったら政策に関わることができる? 議員を知るためにできることは? 文化的変革に関与するには?文化的変革は政治的変革に比べてすぐには効果をあげないものだから、過小評価されてる。でも文化的変革はもっと長く継続した影響を与える。文化は最終的にひとつの世代を超えて続いてゆくってことを考えてみて。それって強力でしょ。

All clothing Simone Rocha.

Credits


Photography Petra Collins
Styling Jimi Urquiaga
Hair Marcia Hamilton at Vision Artists using Shea Moisture. Make-up Emily Cheng using CHANEL Ombre Premiére. Photography assistance Moni Haworth and Isaac Soloway. Production Lumia Nocito.

Translation Momo Nonaka

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