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Come TeesはLAからSupremeへのアンサーなのか?

ソニア・ソンブリュイユが生み出すDIYなストリートウェアは、リアーナやカニエ・ウエストをも魅了している。最強のハイプマシーンであるSupremeをライバルとしても損なわれない、Come Teesの先鋭的なスピリットをソニアが語る。

by Alexandra Weiss; translated by Ai Nakayama
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sep 6 2018, 6:36am

Photography Justin Cole Smith

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ファッションにはこれまでも、アンダーグラウンドのカルチャーを引用する傾向があった。しかし近年、ストリートウェアは断トツの人気を誇っている。かつてトンプキンス・スクエアに集うスケートボーダーや、ダウンタウンを歩くクール・キッズのユニフォームだったストリートウェアは、今や巷に溢れている。Instagramをスクロールしてみれば、ドレイクやカーダシアン家の誰かしらが、SupremeやSome Wareを着用している。あのWikipediaだって、ストリートウェア・ラインを発表したくらいだ。しかし、独自の理念や先鋭的なDIY精神を生かして業界を変革しようとするストリートウェア・ブランドもある。2009年にヴィジュアル・アーティストのソニア・ソンブリュイユ(Sonya Sombreuil)が立ち上げたCome Teesは、手書きの画が描かれた唯一無二のアイテムを発表する、パンク・ロックなストリートウェア・ブランドだ。

「私が音楽業界にいたこと、私の人生において音楽のマーチャンダイズの存在が大きかったことがきっかけです」とソニアはCome Teesの発端について語る。「まずは、自分が知っているバンドのTシャツ制作を始め、そこから独自のオマージュ・プロジェクトに着手しました。そして2014年、LAに引っ越してから、より深くストリートウェアに足を踏み入れることになります」

以来、Come Teesを単なる音楽マーチャンダイズかられっきとしたひとつのブランドへと進化させてきた現在32歳のソニアは、Come Teesが〈ネクストSupreme〉になることを願っている。既にリアーナやカニエがブランドのファンであることを考えると、それもきっと難しくはないだろう。しかしソニアにとって大切なのはそこではない。彼女は自らのクリエイティビティの限界を広げることに関心を抱いているのだ。「私は、様々な美意識やセンス、様々な世界をひとつにしたいんです。アイデアなら100万個あります」

Come Teesの未来、そして「カルチャーの運び屋」を自称する理由をソニアがi-Dに語ってくれた。

——ご自身の作風について教えてください。
正直なところ、このスタイルのほとんどは私が無能だからこそ生まれたものだと考えてます。私にとって、何かを創るときのいちばんシンプルで率直な方法が手で描くことなんです。それに私はグラフィティや先史時代の壁画が大好きで。プリミティブで、手で描かれた絵画です。

——あなたに影響を与えたモノや人は?このブランドはパンク・ロック、DIYのヴァイブスをはっきりと有していますが、あなたはそれを、ヒップホップ、ストリートウェア的なセンスと混ぜ合わせていますね。
私が受けた影響は本当に多様です。最近ではマルティーヌ・ローズ(Martine Rose)、彼女の作品と共鳴しています。私たちの雰囲気は共通していると感じるんです。私たちはいろんなサブカルチャーに関わっていて、それぞれのカルチャーが常に影響し合っている。まさに、様々な文化的経験が混淆してるんです。私はかつてパンクを聴いて育ちましたが、例えばレゲエもたくさん聴きましたし、私のパンク体験がレゲエ体験に勝るとは思ってません。何より私が関心をもっているのは人間、カルチャー、そしてその多種多様なかたちです。

——ストリートウェアはファストファッションという領域のなかで、安価な大量生産システムに組み込まれてしまっています。そこでは真の〈オリジナル〉など存在しません。でもそんな状況のなか、あなたはひとつひとつのアイテムに、文字通り手を使って描画しています。
そうですね。でも、一般化とブランディングが溢れかえると同時に、様々なペルソナ、アーティスト、プレイヤーが登場するという、カルチャーにおける見事なパラドックスが発生しているのは確かです。私はそこに、その緊張感にワクワクします。

——最初はバンドTシャツの制作から始まったとのことですが、どうやってそれがひとかどのファッションブランドに進化したのでしょう?
そもそも私は、マーチャンダイズにそこまで興味があったわけじゃないんです。むしろ今ではマーチャンダイズにうんざりしてます。私が関心をもっていたのはコミュニケーションでした。Tシャツは、実に簡単に広まりますし、世界中どこでも着られます。それに私は、Tシャツが自立して存在しているさまを好ましく思うんです。つまり、TシャツはTシャツであり、単なるアクセサリーやブランドマーケティングのツールではない。まあとにかく、ちゃんとしたブランドになるうえで、私は最高の天文学的な幸運ふたつを授かったと思ってます。ひとつはリアーナやカニエが顧客になってくれたこと、そしてLAにいること。おかげで自分と世界とのあいだの距離がかなり縮まりました。

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——カニエやリアーナが自分の画をまとっているのを目にするって、どういう気持ちですか?
うれしいですよ。でもだからといってプロジェクトに影響が出るわけではありません。もちろん、それによってビジネスの成長が促されますが、私は今もなお自分のヴィジョンを磨き、拡張している途中です。カニエのような有名人が自分のブランドを着用しても、自分の進む道にさほど影響はありません。私はポップカルチャーが大好きで、特にカニエの大ファンだけど、私の友だちが私のアイテムを着ていても同じくらい喜びますよ。

——あなたのデザインは、その多くが明確に政治的メッセージを表現しています。露骨なステートメントを差し引いても、アートワークそのものがかなり先鋭的です。あなたにとって、自らのアイテムを使用して何らかのテーマに関与することが重要なのでしょうか。
どうなんでしょう。正直いうとそれよりも、私の成熟のプロセスや、あるひとつのカルチャーのなかで生きる住民であるというのはどういうことか、それを理解するプロセスのほうに大きく関係している気がしますね。私は様々なボランティア活動に参加しているので、そういう思想が私の作品のなかに流れていても不思議ではないですし、ある意味、自分の今の責任だと感じます。やっぱり政治問題は、私の創作において常にいちばん最初に来ますね。特に年齢を重ねるにつれそう感じます。

——あなたにとって特に大切なモチベーションとなるもの、あるいは自分の作品に頻繁に見出すモチーフってありますか?
意識とか認知に関係するイメージにこだわってます。鏡や扉、窓、瞳のように、多様な比喩的象徴があり、そういうものにはみんな慣れきっているでしょうが、それらの象徴は、認知という基本的体験にも関連していると思うんです。それを大事にしています。私たち全員がもう少し意識を高くもてば、世界平和もかなうはずです。

——ヴィジュアル・アーティストというバックグラウンドは、あなたの衣服デザインのプロセスに影響を与えているでしょうか?
そうですね、私は自分がファッションデザイナーだとも、ファッション界で活動しているとも思っていません。私は何より〈カルチャーの運び屋〉です。もちろん、このバックグラウンドのおかげで、私はだいぶ有利な地平に立てていると思います。物事を経験したら、それらを自分のドローイングで表現できますから。そのおかげでファッションの速度にも、その薄っぺらさにものみ込まれずにいられます。

——Come Teesを含め、Born × Raised、Phlemons、No Sessoなど、現在LAには多くのすばらしいブランドがあり、ストリートウェア・カルチャーを刷新しています。LAに暮らし、先鋭的なデザイナーたちと肩を並べることで、あなたのクリエイティビティも何か影響を受けていますか?
人間として、間違いなくLAからは多大なる影響を受けてます。それはひとえに、LAがこの世界全体の縮図だからです。世界のどこかにあるということはつまり、LAにあるということ。政治情勢がここまで切迫している今、逆にポップカルチャーがかなりの深化を遂げているというのは皮肉ですね。メインストリームにおける芸術性のレベルは、少なくとも私の人生においてかつてないほど高まっており、そこにある奇抜さや急進性によって、人びとはマイノリティや傍流の声を理解できるんです。そういう声はこれまでも常にありました。私はNo SessoやPhlemonsの大ファンで、そういう、私がずっと大好きで、携わってきたアンダーグラウンド・カルチャーのエッジーなスタイルは、少しずつ主流に受け入れられてきているのではないでしょうか。私が13歳のときなんて、ポップカルチャーは超退屈で、アンダーグラウンドに目を向けるしかなかったですよ。

——Come Teesはこれからどう成長していくのでしょう?
私はSupremeの経営スタイルを尊敬しています。Supremeはその懐の深さで、ブランドの表現をさらに前進させていますし、多様なアイテムやコラボレーションで、ブランドの世界を拡張しています。私もCome Teesのライターをつくりたいです。今や、それこそがストリートウェア・ブランドのビジネス戦略となっているのでしょうが、それを最初にやったのがSupremeだった。私のビジネスの理想モデルはSupremeです。

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——Come Teesが目指すところとして、Supremeのようなブランドが挙がるとは意外でした。あなたのやっていることはSupremeとはまったく別物のように思えます。何といっても、あなたのつくっているアイテムには必ず1点モノの要素がありますから。
その通りです。Supremeには絶対なれない。私のブランドは、私の意見や主観性に大きく拠っています。だけど私は、Supremeをメタ・ブランドとして視ているんです。〈Supreme〉という名前だってそうです。彼らは、外部のデザイナーにプラットフォームを提供するときも、その支配者として君臨しています。コラボしたって、絶対に「あ、Zippoだ」とはならない。Zippoも必ず〈Supreme仕立て〉になっているんです。私はアーティストで、どこにいっても「こんなモノをデザインしたい」「椅子をつくりたい」「ランプをつくりたい」「ホイールカバーをつくりたい」ってことばかり考えてます。いろんなモノに自分ならではのひねりを加えたい欲求があるんです。アーティストでよかったって思うのは、いつだってたくさんのアイデアが溢れてることですね。

This article originally appeared on i-D US.

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