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      culture Amy Campbell 4 October, 2016

      バック・トゥー・ZINES:なぜ今、ZINEを始める女性が多いのか?

      インターネットから距離を置き、インディペンデント系フェミニズム出版物シーンに居場所を見つける女性が急増している。

      バック・トゥー・ZINES:なぜ今、ZINEを始める女性が多いのか? バック・トゥー・ZINES:なぜ今、ZINEを始める女性が多いのか? バック・トゥー・ZINES:なぜ今、ZINEを始める女性が多いのか?
      image by ben thomson

      1990年代初頭、アメリカで起こったフェミニズムのムーブメント、ライオットガール(Riot Grrrl)。以来、ZINEとジェンダーをベースとしたアクティビズムは切っても切り離せない関係を続けてきた。手作り感と、自立し急進的なトーンが特徴の、自費出版マニフェストともいうべきZINEは、ポケットサイズで小さいながらも、女性に発言の場と力を与えるという意味において大きな影響力を持っている。数でこそTumblrやInstagramに劣るものの、紙に切り貼りをして作るZINEはいま、その勢いを吹き返しつつある。

      インターネットが当たり前にある環境で育ち、自らをストレート男性以外のジェンダーと自認する若年たちにとって、「意見を持つ」ことは「コメント欄で矢面に立たされる可能性」を意味する。彼女らはより安全な表現の場をデジタルスペース上に探していた。そこで彼女らが見つけたのが、より親密で支え合いの精神に満ちたZINEだった。

      その結果、女性の声を世界に発信するエキサイティングなインディペンデント系出版のニューウェーブが巻き起こりつつある。オーストラリアやニュージーランドのベッドルームで生まれて、愛によって綴られ、切り貼りと情熱に溢れた、女性による女性のためのZINE——語り合うべきトピックを提議し、知っておくべきクリエイターを紹介してくれるZINEの数々をここに紹介しよう。

      FEMS(Females for Equality Making Stuff)』は、メルボルンを拠点にした集団の名称であり、彼女たちが作るZINEの名前だ。フリーヤ・アレキサンダー(Freya Alexander)、カサンドラ・マーティン(Cassandra Martin)、ティーガン・アイヴァーソン(Tegan Iverson)によって立ち上げられた。3人が目指すのは、女性と、女性と志を共にするあらゆる人々に発言の場と力を与えること。その使命感はつながりの輪を広げ、創刊当初は友人の名前が連ねられるのみだったコントリビューターの欄が、今や国際ネットワークにまで発展している。

      このZINEはどのようにして作られているのでしょうか?
      重労働のプロセスよ!ピザを食べながら何度も何度もミーティングを重ねて、InDesignでのレイアウトについて延々と語り合うの。綺麗なZINEに仕上げるのはティーガンとカサンドラ、文章の校正はフリーヤが担当しているわ。

      ZINEを魅力的なプラットフォームだと考える理由は?
      ZINEは情報を独自の角度から伝えることができるし、多様な人の視点——特に女性の視点を発信する力に優れているからだと思う。いま、ZINEは女性と、女性と志をともにする人々に発言の場と力を与えているの。そういう発言の機会は、マスメディアには与えられない。ZINEは人を分け隔てたりしないし、だからこれこそがクリエイティブな人々が探し求めてるものなんじゃないかと思う。

      FEMS』のコントリビューターが寄稿した文章を読んでいて、最もインスパイアされるのは?
      すべてね。ひとによってこんなに違う作品が作られて、こんなにパーソナルなものが作られているのが驚きだし、美しい。女性が、世界とパーソナルなものを共有するのはとても勇敢なこと。名前を明かしてまで自分を、そして自分のストーリーを共有しようというその心意気を受け止めてもらえればと思う。

      @femszine

      ニュージーランド発の『Uptalk Zine』。編集のアマンダ・ロビンソン(Amanda Robinson)は、友人の会話に興味をひかれたのをきっかけにこのZINEを作り出した。グループテキストとSnapchatのセルフィー、そして女性が打ち明け合う秘密への讃歌として作られた『Uptalk』は、女性たちの秘密の会話の奥にあるものを見事に見せてくれる。

      Uptalk』は比較的新しいZINEですが、なぜこれを立ち上げようと思い立ったのでしょうか?
      そう!まだスタートして間もないの!『Uptalk』のようなコンセプトで何かをしたいとはずっと考えていたの。アート作品を作っている女性をたくさん知っていて、彼女たちの作品を世界に見せる物理的な媒体を作りたいと思ったのがきっかけ。彼女たちが手元に置いて、自分を誇りに思えるような、何かそんなものが作りたかったの。高校時代からの友人数人と、ずっと作り続けられるからということで「ZINEを作るのは楽しいかも」ということになったのよ。

      Uptalk』を最初に作ったのは、あなたが高校在学中だったと聞いています。
      アイデアは高校のときに思いついたの。今は大学で映像とメディアを専攻しているんだけれど、『Uptalk』創刊号を作る際には、学校の教科書を買うためのお金を印刷代に回したりしたわ!

      女の子たちのコミュニケーションについて、ZINEを作る過程で分かったことはありますか?
      女の子のあり方というのは「これ」と決まった形があるわけではないから、何も言い切れはしないけれど、私が興味をひかれる女の子や女性たちは、私たちと同じような方法でコミュニケーションをとっているのがわかったわ——「秘密」でコミュニケーションを図るの。インターネットのおかげで、今は自分と同じ興味を持つひとを見つけて、つながることができる。グループテキストのあの「聖域」的な感覚も面白いと思う。

      @yotalkmag

      Woolf Pack』は女性と、性の二分化に違和感をおぼえるすべてのひとに向けられた、ブリスベン生まれのZINEだ。現在は世界中に流通されている。立ち上げメンバーの編集者レベッカ・チアーズ(Rebecca Cheers)とタリア・エンライト(Talia Enright)は、自らの、そして友人たちのアート作品を掲載できる媒体をと自費出版でこのZINEを作った。

      まずはZINEの名前について教えてください。
      ちょうと私たちが『Woolf Pack』を制作していたとき、友人数人がヴァージニア・ウルフの小説を読んでいたんです。まったくの偶然でしたが。雑誌名の"Pack"の部分は「女性や、性の二分化に同調しない人々がストリートを走り回ってあらゆるものを蹴り飛ばし、大騒ぎしている」というイメージをとても気に入って、つけました。

      オンラインではなく、物理的な媒体としてZINEという形態を選んだのはなぜですか?
      インターネットと無縁なところが好きだったんです。コメント欄もないし、差し迫って誰かから報復行為を受ける心配もない。インターネットも好きですが、雑誌という形態は、ほかのひとが介入してくることで歪曲されていくということが少ないので気に入っています。

      これまでZINEはたくさん読んでいましたか?
      ZINEなんて存在すら知らなかったんです。知っていたらよかったと思いますよ。高校のときはティーンの女の子なら誰もが直面する問題に、大いに悩みましたから。友達と手紙を書きあったりはしましたけどね。若い子たちに、もっとZINEの存在をアピールするべきだと思うんです。ZINEに助けられる子は多いはずです。

      女性の声を世界に発信するうえで、ZINEが果たせる役割とは何だと考えていますか?
      ZINEは、フェミニズムだけでなくアクティビズムにも寄与できると思うんです。自由と使命の感覚がZINEにはある。ZINEは、幅広い経験をまっすぐに表現できる力を持っていて、ジェンダー関連のアクティビズムが発生するときにはきまって先鋭的な存在として機能してきた歴史があります。いま、世の中にはフェミニズムとアートのクロスオーバーが多く見られますが、ZINEはそれを大きく後押しできる存在だと思います。

      @woolfpackbrisbane


      レベッカ・ヴァルコー(Rebecca Varcoe)とレイチェル・オーピー(Rechelle Opie)が作る『Funny Ha Ha』は、とにかく面白いことを何でも取り上げるZINEだ。ふたりは、周囲で最も面白い人が全員女性だということに気づき、次号を「ガールズ・ガールズ・ガールズ」と名付けることにしたという。

      コメディ界の女性にインスパイアされて次号の『Funny Ha Ha』を作るに至った経緯について聞かせてください。
      女性だけを取り上げた号を作るという決断に際しては、オーストラリア国内で女性コメディアンが共通して直面する問題が大きく取り沙汰されていたという背景がありました。でも、一般的に、解決策を見出すには至っていなかった。ZINEがそういった問題を解決できるなんて言うつもりはまったくないけれどね。それに、次号で何か大きな主張を訴えるようなこともしたくなかった。面白い女性を直接的にたくさん知っているんだと分かったので「じゃあ、彼女たちを取り上げた号を作ろう」ということになったんです。

      Funny Ha Ha』にこれまで寄せられた文章のなかでも、力強い作品には女性によるものも多かったとおっしゃっていましたが、なぜ今、ZINEは作品発表の場として女性たちに見直されているのだと思いますか?
      ZINEは、対話のような環境を作り出すからだと思います。作品がひとつずつ孤立しているというのではなくて、作品同士が高め合えるような、そんな「コンテンツ同士のコミュニティ」とでもいうべきものがあるんです。オンラインでは誹謗中傷が横行するようになったので、単に作品を見てもらいたいという人にとってはZINEのほうが安全で心地よい場なのだと思います。

      インディペンデント出版という形態を保護していく上で、ZINEが果たせる役割とはどんなものだと考えていますか?
      紙媒体が瀕死の状態にあるとは思っていません。昔のようにお金の流れが良いビジネスではなくなっているだけで。今、人々はオンラインに疲れ始めています。一方で、ZINEのように真に良いものを出版していくことに情熱を傾ける人々がいる。そういう人たちにチャンスが巡ってきているんです。またZINEは、ただコンテンツとクリックを生んでいくためだけに瞬時の反応を求めるようなことなく、長く息づいていけるものです。ZINEは愛と情熱なくしては作れませんから、それが死に絶えることはありません。

      @funnyhahamag

      Credits

      Text Amy Campbell
      Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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      Topics:culture, zines, publishing, feminism, women, the internet, safe spaces

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